<版画用紙はどっちが表?>

 版画の刷り紙は通常、和紙のような吸湿性のある紙を使う。つるつるの面とざらざらの面があるのが普通だ。さて、刷るときにはどちらの面を使うのが正解か?
 正解などない!ことは表現の目的と方法の関係である。A面で刷ればこんな感じ。B面だとこんな味わい。さー、君はどっちで刷りたい?どっちが好き?大切なのは違いを感じる感覚を養うことである。それは制作活動が終わった後でも良い。制作のときは気にせずどちらでもよいと思っていた子や間違えて刷ってしまった子もいるであろう。でも鑑賞活動の中で、味わいの違いに目を向けることができれば、それでよい。
 「こっちが表、だからこちらで刷りなさい。」という指導は、教育の中で文化の伝承と言う側面。「こっちが表だけど、裏で刷ると違う感じになるかも。やってみる?」と言うのは、過去の文化を伝承しつつそれを発展させる力を育成する側面。

 「教育」には相反する2つの目標がある。「人類文化の伝承」と「過去の文化を打ち破り、それを発展させていく力の育成」である。

 但し、版画の刷り紙の話は20年も昔の話であり、今では既に伝承の部類でしょうね。