<雑談の中で教育観を磨きたい>

 今から約30年くらい前の話である。あるとき、同学年の先生から「相談したいことがあるので、第2で待ってていいかなー?」と言われた。「第2」とは、学校から少し離れた喫茶店であり、「第2職員室」の意味である。

 部活動指導後、その喫茶店へ行った。指導上困っている子どもについてどう対応するべきかという相談であった。同学年のもう1人の先生も含め3人で、翌日からの指導について話し合った。そして、担任以外の私たちがそれとなくその子に関わることができるように場所やタイミングを考えながら学年団で対処していった。

 こうした過程で、指導上の現実的問題解決だけでなく、実は互いに教師としての指導ノウハウを身につけていけたと思う。

 当時、部活動の指導を終えて“第2”に休憩に行くと、すでに先輩がいる。話が弾むと1時間でも2時間でも居座った。その雑談の中で、子どもの話、授業の進め方、教材の話、行事に向けての取り組みなども当然のように話題になった。そうした中で、授業作りの新しいアイディアが浮かんだり、明日の英気を養ったりした。そういった過程で、教師たちは、教材観、授業観、教師観、教育観を磨いていたのだと思う。