<多忙感で雑談が減少している>

 私が若かったころの夏休み、職員室の雑談の中で、教育センターで受けてきた研修の話になった。冗談も交えながら談笑しているうち、互いに授業を見せ合おうということになった。すぐに互いの時間割などを検討し、計画を立てた。2学期から、お互いに授業を見せ合う“現場研修”が実現した。こんな話は3分や5分の談笑からは出てこないと思う。互いの気心が分かるようになり、ある程度のゆったりとした雑談時間があって初めて実現したと思う。

 教員免許更新制が始まる。確かに世の中がめまぐるしく変化し、教育の内容も方法も考え方も変化が激しく、多種多様になってきた今日である。“研修”は必要であり、否定するつもりは毛頭ない。
 しかし、“免許更新のための研修”の多くは夏季休業中に行われるであろう。ベテラン教師も大学などへ出向いて“研修”を受けることになる。比較的ゆっくりとした時間の取れる夏季休業中の職員室での雑談の時間がさらに失われることであろう。

 学校現場の忙しさは尋常ではない。教師の忙しさについてはたくさんの検証、実証研究や論説があるので改めて言うまでもないであろう。そこへ加えての教員免許更新制で、教師たちは実際に割く時間以上に精神的に追い立てられて多忙感を募ることと予想する。夏季休業中だけでなく、1年を通じて職員室でのゆとりがなくなり、若い教師が雑談の中から学ぶ機会がさらに減っていく。教師文化の伝承がいっそう難しくなっていくことを危惧する。