<文化伝承の基盤となる教師コミュニティーを創造したい>

 「文化」は人間のコミュニティーの中で生まれ、育まれ、伝承される。

 50年位前までは、都市部と言えども地域コミュニティーの文化があった。人間的なモラルや人情もその中で伝承された。地域には盆踊りや、お祭り、運動会、ハイキングや旅行会などもあった。子供会活動も活発だった。その後、だんだん地域コミュニティーは力を失い、職域コミュニティーが隆盛した。会社単位での運動会や家族を伴った慰安旅行などもあった。

 今考えてみると、職場としての学校も、こうした社会の流れに沿っていた。私が教師になり家庭を持ったころの学校は、教師にとっては職域コミュニティーであった。教師同士互いの自宅へ遊びに行くこともあったし、職場の仲間と家族ぐるみでバーべキューを楽しんだこともある。気心知れた少人数で出かけるのではない。職場のたくさんの教師が参加したのである。マイクロバスをレンタルしてリンゴ狩りにも出かけた。スキーやテニスの旅行もあった。
 学校文化、教師文化はこのような職域コミュニティーとしての学校という職場で伝承された部分も大きい。

 現在では、趣味が多様化し、個性の尊重や、個人の自由、プライバシーの尊重などが叫ばれ、良い意味での公私ごちゃ混ぜのコミュニティーは存在しにくくなった。職域コミュニティーとしての学校も例外ではない。それはそれで歴史の流れであるので逆流はしない。それでも何とかして教師文化を伝承してほしいと願うのである。そのためには文化の育成伝承基盤としての新しい教師コミュニティーを創造する必要があると思うのである。

 次回はその具体化を提案したい。