<水を100℃以上にしよう!>

 4年生の理科の「水の温度」という単元の学習が終わった。職員室に戻り、何気なく隣の先生に「やっと水の温度の単元、終わった。実験結果もきちんと出たし、きっと理解してくれたと思うわ。」と話しかけた。すると「そうかなー?テストでは正解するだろうけどほんとに納得したんだろうか?『なんとか100℃以上にする方法はないか?』なんて問いかけたら、いろいろ言うかもね。」とのコメントである。その先生は、理科が得意なベテランの先生である。

 次の時間、改めて問うてみた。「ほんとに100℃以上にならないのだろうか?」始めはいわゆるよくできる子や、塾に行っている子が、「あったりまえだが。水は100℃以上にならないの!」と言う。しかし、「火を強くするともっと熱くなるかも。」「鉄はものすごく熱くなるから鉄の鍋なら100℃以上いく。」「熱が逃げないように蓋をすればいい。」などの意見が出始める。私は「よし、じゃー、100℃以上にする実験方法を考えてごらん。道具は学校にあるものだけだよ。」と言ってそれぞれに考えさせた。
・ ビーカーではなく金属鍋で加熱する。
・ 蓋をする。
・ ガスバーナーを2本にする。
・ ガスバーナー2本だけど1本は隣のガス管につなぐ。(同じ管からの二股では火力が弱いから)
・ 家庭科室のガスコンロで加熱する。
などなど、意見百出。塾で先に習い、前の時間には冷めた表情で実験に参加していた子も、必死で考えている。取り組みたい実験方法が同じ子でグループを作り、実験に取り組むことにした。成績優秀な子も、勉強嫌いな子も関係ない。実験に取り組む姿勢は、嬉々としていた。

 「水は100℃以上にならないことを確かめる実験」と「100℃以上にする方法を工夫する実験」。これだけの問いかけの違いで、子どもの取り組み方はおおいに変わり、塾での知識学習も吹っ飛んでしまった。単元の学習時間を2時間もオーバーしたのだが、子ども達は確実に理解し、知識が定着したことを感じた。きっかけを作ってくださったベテラン先輩先生には、本当に心から感謝しながら報告した。